2020-01-01から1年間の記事一覧

読書感想文 日日是好日/森下典子

別のアカウントで、細々とオタクとしての想いを綴っている。 一口にオタクと言いつつも様々な感情で様々な子を応援しているが、その中の一人のお誕生日に書いたブログで「彼にこの本を紹介するなら。」という体で書いたことがある。 彼は少し前から読書をす…

たぶん最初に書いておくべきだった

それでも書いていて気が付いたことだから仕方がない。 文体とは、あくまで人柄だ。ユーモアのないひとにユーモラスな文など書けるはずもなく、大まかな性格の人に神経質な文は書けない。文章技術より、自己発見のほうが先である。 父の三兄弟のうち誰が読ん…

読書感想文 ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ/滝本竜彦

読んだ順番もあって、「水の時計」ととにかく対照的に映った。 どちらも舞台は凍てつく冬、主人公はまっとうとはいいがたい17歳。けれども「水の時計」が体温を奪うような透明さだとしたら、この作品は血が沸いてしまうほど燻ぶった何かの上げる煙のようだっ…

読書感想文 水の時計/初野晴

寮生がいるおかげで他の学校よりも少し長い夏休みが始まる前に、教室で配られる文庫フェアの冊子が好きだった。 集英社のナツイチ、新潮文庫の100冊、角川が一番多く買っている気がするのに「カドフェス」なんて名前がついているのは知らなかった。この本に…

読書感想文 あん/ドリアン助川

「汚れ」と「穢れ」の違いをコップに入れた尿に例えた話を思い出した。 コップに入った尿が飲めるかと言われたら飲めない。「汚れ」ているから。 では、その尿を捨てて、コップを完璧に洗って殺菌消毒すればそこに水を入れて飲むことができるかというと、や…

読書感想文 カラフル/森絵都

小学生か中学生の時に一度読んだ本を、この年になってもう一度手に取った。 自粛生活も長くなると、だんだんやることがなくなって読書にいきつく人も多いらしい。私もその一人で、会社の同期と昔読んだ本の話になった。東野圭吾、湊かなえ、原田マハ……そんな…

読書感想文 黒い家/貴志祐介

その本を私に教えてくれたのは支社の販売スタッフのS部長だった。 「 I みたいな男が主人公で、とんでもないことに巻き込まれていくんだ」 生命保険会社の人間で知らない人はいないぐらいの有名な本らしい。発刊直後に起きた保険金詐欺事件と内容が酷似して…